地形を活かした玄関が2つある設計。

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地形を活かした玄関が2つある設計。

一般的に不利とされる土地の形状も、設計事務所の目線で見ると魅力的な敷地条件に見えてくることがある。その見極め方によっては、住宅設計にとって良いポテンシャルに変化します。横浜特有の高低差や変形地など設計事務所の既成概念を超えた設計で豊かな暮らしが実現します。

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横浜の地形は高低差の多い地域だ。平坦な敷地を探すのは困難であるため、高低差を活かした設計を求められる。

今回のプロジェクトは、土地の高低差が魅力となる計画。敷地面積は広いが、一般的には敷地延長の土地(旗竿地)であるため、土地の評価としては低くなりがちな土地だった。住まい手も、この土地を見つけた時はあまり魅力を感じなかったという。

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しかし、建築会社である私たちが土地のチェックをすると、とても魅力的な土地だということが判明。敷地延長のデメリットが設計で解消され、むしろ魅力となることを設計の可能性と共に説明すると、住まい手の土地の見方が変化した。

敷地延長の土地であったが、敷地の奥の擁壁の上は道路が接道していた。おおよそ2m程度の高低差の擁壁があり、その上を道路が通っているという状況だった。高低差はあるものの、道路に接道しているということが、この土地のポテンシャル。この土地のポテンシャルを活かし設計に挑んだ設計者は早川氏。早川氏は、この高低差を利用し駐車場を鉄骨の架台で設計した。駐車場架台の奥に階段を数段設け、2階エントランスの設計とした。

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2つの玄関は、スキップフロア形状のリビングで緩やかにつながる設計となりました。リビングには大きな吹き抜けを配置し、キッチンにいる奥様が2階の玄関から帰ってくる子供の気配がわかるように設計された。

スキップフロアは、リビングを1階のレベルから少し高い位置にすることとなった。これによって、小さな歩道を歩く歩行者からの目線からプライバシーを守るカーテンいらずのプランとなりました。カーテンを無くすことで、リビングの吹き抜けには天井までの大きな窓を設置し、昼間は常に明るいリビングとなりました。

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2階には、和室の寝室を設けました。子供が小さなうちは、この和室で家族全員が雑魚寝。和室の吹き抜け側には、障子の室内窓を設置。和室を寝室としてだけでない機能を持たせることによって、変化する家族構成に対応できるようにした。

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リビングは様々な空間と吹き抜けを通じてつながっていく。高気密高断熱の高性能住宅は、暮らしの概念を変えていきます。

デザイン性は良いけど、夏暑くて冬寒い暮らしを我慢しながら過ごすということでは、豊かな生活だとは言えないのです。住宅性能を熟知している早川氏だからこその大胆で既成概念にとらわれない設計となった。

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庭も2つ。
1階のダイニングキッチンエリアには、2つの庭が接している。1つは、南側の日当たりの良いデッキ空間。デッキの広さも大きくつくり、室内の広がり感をつくりだしている。

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2つ目は、北側の庭。北側は2m程度の擁壁があるエリア。擁壁があることで、こもり感のある庭となった。旦那様の仕事場でもある書斎からもつながり、多目的な庭となっている。

DETAILS

地形を活かした玄関が2つある設計。

  • 所在地:横浜市保土ヶ谷区
  • 敷地面積:73.71坪(243.70m²)
  • 延床面積:38.06 坪(125.86m²)
  • 家族構成:大人2人・こども4人
  • Ua値:0.49W/m²K
  • C値:0.12cm/m²

DESIGN

早川慶太 写真

早川 慶太
(はやかわ建築計画)

1975年

神奈川県生まれ

1998年

法政大学工学部建築学科 卒業

2000年

設計組織ADH 入社

2006年

はやかわ設計計画 設立

事例1 写真 「非住宅感」を意識したファサード建築家・今知亮氏 事例2 写真 デッキ空間という中間領域を設計する建築家・藤本誠生氏 事例3 写真 公園に対して「コの字」に開く建築家・河添甚氏 事例4 写真 敷地延長の土地の回答建築家・中村俊哉氏 事例5 写真 地形を活かした玄関が2つある設計建築家・早川慶太氏 事例6 写真 公園の中で暮らすように描く建築家・石川昂氏 事例7 写真 北側リビングの選択建築家・河添甚氏 事例8 写真 好きなものに囲まれた至福の土間リビング建築家・河添甚氏 事例9 写真 葉山から富士を望む設計建築家・三島史子氏 事例10 写真 高低差を活かした設計建築家・戸田悟史氏