擁壁を基礎と一体化することでたくさんのメリットが生まれてくる。建築物を一体として計画することにより、低い位置をビルトインガレージとし、さらにはガレージの上部をアウトリビングとして活用できるバルコニー空間とした。敷地全体を建物一体として設計することにより、デメリットとなりやすい高低差をメリットと変化させた。
計画地は、宅地内で3m程度の高低差があった。土地の大きさは60坪以上あり建築計画上は充分な広さがあったが、宅地内での3mを超える高低差は設計の大きなハードルとなる。高低差を解消する方法として代表的なものとしては、宅地造成がある。土留めとしての擁壁をつくり平らな宅盤をつくる。その造成された宅地に住宅を設計していくという流れで行う。しかし、今回の設計者である戸田氏は、土留めの擁壁をつくらず建築物の基礎を高くすることで高低差の解消を図る計画とした。今回の設計者である戸田氏は、土留めの擁壁をつくらず建築物の基礎を高くすることで高低差の解消を図る計画とした。
擁壁を基礎と一体化することでたくさんのメリットが生まれてくる。建築物を一体として計画することにより、低い位置をビルトインガレージとし、さらにはガレージの上部をアウトリビングとして活用できるバルコニー空間とした。敷地全体を建物一体として設計することにより、デメリットとなりやすい高低差をメリットと変化させた。
このような難易度の高い計画は、設計者と建築会社の密接な連携が必要とされる。建築確認申請をクリアするためには、様々な法的クリアをしていきながら進める必要がある。建築知識はさることながら、建築基準法や地域の条例など様々な観点を考慮して実現可能なものとしていく。
駐車場として活用できる高さを確保しながら宅地内の高低差を活かしていくためには、綿密な計算と施工精度を求められます。宅地造成法をクリアしていくためにも、各種申請機関との協議を重ね、時間と手間をかけながら進めていく作業となった。
外観は、グレーの塗り壁を基調とした。高基礎の面積が大きく見えることを考慮し、基礎の色との親和性を考慮した結果だ。玄関周りとリビング側の外壁の一部にはレッドシダーをあしらいアクセントとしました。玄関のレッドシダーは、玄関内部へとつながり、連続性のある奥行き感を表現したエントランスホールを設計。閑静な街並みの角地に位置する立地の為、過度な色や素材を使用せず、街並みに溶け込むファサードとしました。
敷地の高低差を利用し、プライバシーに配慮した設計ともなっています。玄関側は道路を挟んでマンションが建っているため、マンション側に向かって開く窓は少なく設計されています。
一方、リビングの窓は西側に向かって大きく設置しました。西側はお寺の緑が広がっており、プライバシーを阻害するものがなく将来に渡って変化する可能性が少ないと判断。軒を深くするなどの温熱環境の配慮をした上で、大きな掃き出し窓を設置して、デッキへ行き来できるよう設計しました。
リビングには大きな吹き抜けを配置し、開放感のあるリビング空間としました。吹き抜けにはリビング階段を設置し、階段側の壁は一面本棚としました。1階から2階の天井までの本棚のスケール感は圧巻です。
階段は鉄骨のスケルトン階段とし、透過性の良いものとしました。透過性の良いものとすることで、本棚自体がインテリアデザインを構成するアクセントとして成立しています。本好きの家族が、いつも本棚のあるリビングに集まる設計となりました。
2F子供室は1つの独立した子供室と、将来的に2つの子供室として区切ることもできるように2か所に入り口を設けた可変型の多目的スペースをつくりました。当面は皆同じ部屋で過ごし、個室が必要になればそれぞれの部屋として区切ったり、男の子同士は同じ部屋でも良ければ広いまま使うなど、お子様の成長段階に合わせた可変タイプの空間設計です。
間仕切りを少なくし一体感を持たせ、将来の可変性に対応できる設計は、住宅性能を担保することで成立します。リビングから吹き抜けを通じて、子ども部屋とも一体とするシームレスな設計が豊かな暮らしをつくると考えています。
高低差を活かした設計。