北側リビングの選択。

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北側リビングの選択。

北側が道路に面した立地。不動産価値として高いと評価される土地は「南向き日当たり良好」のいわゆる南側が道路に接道する敷地。今回のプロジェクトは一般的には建築の不利とされる北向きの敷地だった。設計事務所は、どのように敷地の不利と向き合ったのかが見どころとなります。

ファサード

白の塗り壁を基調とした四角いボックス形状の住まい。ワンポイントの四角い窓が印象的なファサードとなりました。シンプルで生活感を感じさせないデザインは、住まい手に飽きのこない暮らしを提供し続けます。

道路が北側に面しているため閉鎖的なデザインとなっている。ワンポイントとなっている窓はリビングの窓。道路との高低差を活かした窓の配置はプライバシーに配慮した設計となっている。北側にリビングを配置するという定石とは異なった設計が敷地のデメリットをメリットに変えていきます。

アウトリビング

南側も隣家の建物が迫っており、敷地内に駐車場を確保すると隣家との十分な距離が取れなくなる。隣家との十分な距離が取れない南側の庭では、外に出て気持ちの良いアウトリビングとはなりにくい。このような敷地条件を考慮し、アウトリビングを中庭とする北側リビングの設計を採用することとなりました。

中庭

北側のリビングのデメリットとなりやすい日照条件の悪さを解消する設計がポイントとなりました。中庭の大きさは、冬の日射の高度を計算しリビングに差し込むよう設計されました。中庭に面する壁が、日中の光を反射するよう外壁の色は白としました。

リビング階段リビング階段

中庭に面した階段と吹き抜けも北側のリビングの明るさを確保するための重要な要素となりました。鉄骨のスケルトン階段はリビングへ光を取り込む機能とリビング空間そのものとしての機能とインテリアのアクセントとなっています。多機能な階段が暮らしの質を高めていきます。

オーナー
玄関アプローチ玄関アプローチ

玄関が南側に配置される。駐車場から中庭を抜けて一番奥に玄関を配置する。中庭を通過する玄関アプローチは距離を感じさせない楽しさがあります。エントランスホールは中庭側に大きな窓を配置することで、中庭の白い壁から反射光が安定して入り続ける明るい玄関となりました。

リビングダイニング

玄関からワークスペース、キッチンからリビングダイニングへと廊下をつくらない設計でデッドスペースを無くしています。それぞれの機能のあるスペースを通過するように設計された間取りは、限られた面積を最大限活かす設計テクニック。空間を多機能にしていくことが豊かな暮らしをつくることとなります。

夜のデッキ空間

中庭は家族が週末みんなで楽しむアウトリビングになります。リビングフロアを同じ高さにデッキをつくることによって、リビングの広さを感じるようになります。

デッキ空間は外と内との関係性を密接にし、日常的に利用できる空間となりました。夜になれば、中庭の植栽がライトアップされ昼とは異なる生活の演出をします。

リビング

さらには室内の全てのエリアが中庭に面することで、どこにいても開放的な暮らしが実現しています。中庭があることで家族の距離感が適度となり、お互いの存在感を感じながらも一定のプライバシーを確保する緩衝エリアともなりました。発想を少し変えることで、固定概念にとらわれない住宅設計が生まれてきます。

中庭

DETAILS

北側リビングの選択。

  • 所在地:横浜市青葉区
  • 敷地面積:39.01坪(128.97m²)
  • 延床面積:29.36 坪(97.08m²)
  • 家族構成:大人2人 子ども2人
  • Ua値:0.46W/m²K
  • C値:0.2cm/m²

DESIGN

河添甚 写真

河添 甚
(一級建築士事務所 河添建築事務所)

1977年

香川県生まれ

2002年

大阪工業大学工学部建築学科卒業

2003年

株式会社プランティック総合計画事務所

2010年

一級建築士事務所 河添建築事務所設立

2013年

東京事務所開設

事例1 写真 「非住宅感」を意識したファサード建築家・今知亮氏 事例2 写真 デッキ空間という中間領域を設計する建築家・藤本誠生氏 事例3 写真 公園に対して「コの字」に開く建築家・河添甚氏 事例4 写真 敷地延長の土地の回答建築家・中村俊哉氏 事例5 写真 地形を活かした玄関が2つある設計建築家・早川慶太氏 事例6 写真 公園の中で暮らすように描く建築家・石川昂氏 事例7 写真 北側リビングの選択建築家・河添甚氏 事例8 写真 好きなものに囲まれた至福の土間リビング建築家・河添甚氏 事例9 写真 葉山から富士を望む設計建築家・三島史子氏 事例10 写真 高低差を活かした設計建築家・戸田悟史氏