葉山から富士を望む設計。
注文住宅を検討されている方の中には、土地から購入することを考えている方も多いと思います。どの土地に住むのかは、理想の暮らしを作り上げるためには重要な要素となります。その土地のポテンシャルを建築会社と相談しながら購入することが、理想の暮らしを手に入れる近道となるでしょう。
葉山の海から少し坂を上ったところに計画地はあった。擁壁の高さはおよそ2m。宅地のレベルに上がってみると葉山の海が見えた。「2階の高さからなら江の島越しに富士山が見えそう」。敷地調査の際、設計者の三島氏とそんな会話をしたことを覚えている。葉山から富士山の方角は西側となる。富士山を望むリビング空間を素直に計画すれば、夏場の西陽との戦いとなる。いくら高性能な窓と言っても西陽がまともに入れば室内の温熱環境は悪くなる。三島氏は、このロケーションの良さを活かしながら、快適性を担保した設計を考えることになった。
葉山はデザイン性の高い住宅が立ち並んでいる。葉山の景観に溶け込むようファサードにも気を使わなくてはならない。外観は、黒のガルバリウムを基調としレッドシダーのアクセントの効いたファサードとなった。
擁壁からの転落防止のためにつくられたフェンスも木製とした。フェンスと門柱も一体として木製でつくり統一感のある外構デザインとした。木製フェンスの材料は、アイアンウッドとも呼ばれる「ウリン」。船の甲板にも採用される水に強く腐りづらいメンテナンスフリーの材料を採用した。
駐車場から階段を上がり玄関のアプローチへと向かうと植栽ゾーンが現れる。好みの植栽に出迎えられる玄関アプローチは毎日のお出かけを楽しくしてくれます。
エントランス空間は広めに確保し、ゆったりとしたスペースとした。外壁に採用したレッドシダーを玄関ホールにも採用しデザインのつながり感を表現。空中を登っていくような木製のスケルトン階段を設計し、階段の下には趣味の自転車が置けるようにした。
リビングはもちろん2階へ。2階のレベルからは、この土地を購入する決め手となった葉山の海越しに江の島と富士山を望むことができる。西陽対策として、バルコニーの奥行きを深く設計。バルコニーの奥行きを深くし、屋根を掛けることで西陽対策と同時に、雨の日でも子供たちが外で遊べる空間ともなった。
夏は強い日差しを避けながら、週末友達とのアウトリビング楽しむこともできる多機能な空間となりました。デッキの壁や天井にも、この住まいのアクセントとなっているレッドシダーを施工しインテリアの統一感をつくりだしています。
キッチンの天井はリビングの天井よりもあえて一段下げて、アクセントのレッドシダーを配置。ところどころにレッドシダーを施工する遊び心のあるインテリアとなりました。
冷蔵庫をリビングから見えないようにしたいという住まい手のリクエストにも配慮。キッチンの横にはモルタル仕上げの壁を作り、その中に冷蔵庫を配置するよう設計されました。1リビングの一角には薪ストーブを配置して、冬の葉山も楽しめるように計画。薪ストーブがあることで、冬が待ち遠しくなる仕掛けを組み込むことも三島氏は忘れない。
DETAILS
葉山から富士を望む設計。
- 所在地:葉山市
- 敷地面積:45.88坪(151.64m²)
- 延床面積:32.95 坪(108.90m²)
- 家族構成:大人2人 子ども2人
- Ua値:0.54W/m²K
- C値:0.4cm/m²
DESIGN
三島 史子
(タイムズ・アンド・デザインオフィス)